現役エージェントが教える転職の極意

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「キャリア(career)」ってどういう意味?

こんにちは、タケです。

今回は「キャリア」という言葉について考えてみようと思います。

 

「キャリア」という言葉は日本でも一般的な言葉として使われていて

キャリアビジョン、キャリアアップ、キャリアパスという言葉も

転職エージェントでは日常的に使われています。

 

そもそも、「キャリア」という言葉にはどのような

意味や捉え方があるのでしょうか?

 

 

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「キャリア」を学ぶ上で、木村周氏の

キャリアコンサルティング 理論と実践」という書籍があります。

 (これはキャリアコンサルタントを目指している方は必読書です!)

 

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「キャリア」の定義

「キャリアコンサルティング 理論と実践」の中では

「キャリア」を以下のように定義しています。

 

心理学からのアプローチ

一般には経歴、履歴またはその人の専門職業、仕事などの意味に使われるが、使用する人や研究者によってさまざまである。これまでの心理学などの知見によれば次のようなキャリアの定義が挙げられている。

「人が生涯を通じて関わる一連の労働や余暇を含むライフスタイル」、「役割統合(role integration)に影響を与え、かつ相互に関連する現象としての労働、教育、家族などの選択に当たって個人を援助することに含まれる包括的概念」、「人が生涯に行う労働と余暇の全体」、「自分が何をするか、自分をどう見るかを結びつける現象的、行動的概念。それは社会的環境、将来計画、能力や特性などとの関連で、自己をどう見るかを規定する」

 

おそらく、意外に思われるかもしれないのは、

単なる「職業」「仕事」という意味だけではなく、

「人が生涯に行う労働と余暇の全体」というように

キャリア=人生そのものという意味合いがあることです。

 

つまり、日々の仕事はもちろんのこと、

休みの日に家族と過ごす時間や趣味の時間も

全てをひっくるめてキャリアだということです。

 

私たちは仕事人であると同時に、

家庭人であり、いち市民でもあります。

 

会社での仕事よりも家事や育児や

地域活動に専念されている方がいれば

それも含めてキャリアなのです。

 

 

社会学からのアプローチ

組織や社会学的な視点を重視した定義がある。それは「仕事に関連した経験と活動に結びついた一連の自覚的態度と行動(career)」、「個人が時間と空間にしたがって進む組織化ないしパターン化された経路(career path)」、「会社や組織において階級の上昇を示すものとしての外的キャリア(external career)、自己のキャリア形成がその人の自己概念を構成するという内的キャリア(internal career)」「事業所内のある職業の上向移動の機会(career ladder)」、「事業所内のある職業の上向移動と水平移動のすべての機会(career lattice)」などである。

 

組織(会社)の視点で、上向移動(=出世、昇格)や

水平移動(=部署異動、転籍、出向)などが意味合いが含まれています。

 

ここで言う「移動」とは「変化」のことです。

キャリアは一定の場所にとどまっていることはなく、常に変化をします。

良いこと(例えば、出世や昇格、望んでいた部署異動)もあれば、

悪いこと(例えば、降格や望んでいない部署異動)もありますが、

常に変化をするのがキャリアなのです。

 

キャリア(career)と近い言葉たち

以下の仕事内容の区分もキャリアそのもの、

またはキャリアの一部を構成する概念です。

  • 仕事を分業化する場合の最低の単位としての課業(task)
  • 1人が分担する課業の集まりである職位(position)
  • 内容と責任の程度が同一である職位の集まりである職務(job)
  • 内容と責任の程度が相当程度共通し、関連性の強い職務の集まりである職種(job title)

 

タスク、ポジション、ジョブ、ジョブタイトルなどは

日々の業務や転職活動の中でも使ったりするのではないでしょうか。

 

また、各個人にとっての仕事の持つ意味、目的によって

以下のような概念もあります。

  • ある目的のための行う努力(work)
  • 肉体労働、苦痛を伴う労働(labor)
  • 最も一般的な意味での職業(occupation)
  • その人が心理的に自分の職業というアイデンティティを持つ天職(vocation)
  • 専門職業(profession)

 

同じような 意味だと思っていた方もいるかもしれませんが

一つ一つの言葉にはそれぞれの意味があるのです。

ちなみにvocationとは、「天職」という意味ですが、

「使命感」と訳されることもあります。

使命感を感じるほどの仕事に出会えると良いですよね。

 

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スーパーの定義

アメリカで「職業からキャリアへの転換」が1950年代の初めに行われましたが、その推進者の1人であったスーパー(Super.D.E.1976)の定義を取り上げたいと思います。これは、「キャリア」という言葉の最も基本的な要素とその広がりを示しています。

 

  1. 人生を構成する一連の出来事
  2. 自己発達の全体の中で労働への個人の関与として表現される職業と、人生の他の役割の連鎖
  3. 青年期から引退期にいたる報酬、無報酬の一連の地位
  4. それには学生、雇用者、年金生活者などの役割や副業、家族、市民の役割も含まれる

 

スーパーはキャリア理論においては絶対に外せない理論家です。

彼の様々な理論についてはまた改めて書きたいと思います。

 

まとめ

「キャリア」という言葉の定義やその周辺の

概念などについて書いてみましたがいかがでしょうか?

 

キャリアについての研究はまだ歴史も浅く、

言葉の定義も様々な見解や捉え方があります。

 

いづれにしても、単なる職業や業界、職種ということではなく

より広い視点で自分なりの「キャリア」を捉えてみると良いと思います。